日経産業新聞に掲載されました!

2022年4月12日日経産業新聞に掲載されました!

 利益確保と社会貢献を二刀流で追うゼブラ企業が日本でも成長してきた。新型コロナウィルス禍で貧富の差が拡大して社会不安が高まるなか、格差是正に取り組むゼブラに投資マネーが集まる。背景には金銭的リターンと社会課題の解決をともに評価する投資家が増えてきたことがある。利益確保と社会貢献の両立をどう実現しているのか。ゼブラを生み育てる起業家を追った。

「二刀流」ゼブラ企業 成長期

「企業利益」と「社会貢献」を両立する白黒模様(ゼブラ)の企業

2010年代半ばから世界で提唱

日本では格差解消などに取り組む

住宅確保を支援

 

築古物件や空き家を取得して修繕

借り主が払える家賃で貸す

賃料で修繕費用回収

 

----一部抜粋--------------

「子供の服は運び出せたんですが、暖房器具がないので寒いんです」。関西に住む男性は2月末、家賃滞納で強制執行にあい、団地から立ち退くことになった。行く当てがなく自治体に相談したところ、紹介されたのがRennovater(リノベーター、京都府京田辺市)だった。

近隣住宅を賃貸

同社は低賃金や高齢などで住宅を借りられない人に賃貸事業を営む。空き家や築古物件を数百万円で取得し、修繕した上で貸し出す。

前述の男性は小学校卒業間近の子供がいて「学区が変わらない場所に住みたい」と要望し、リノベーターは近隣の物件を選んで貸した。家賃は5万1000円と、近辺の相場(5万8000円)より低いが男性が払える上限額だ。

子供は無事卒業式に出席でき4月からは地元の中学校に通う。男性は数年前に過労から20年近く続けた仕事を辞めて無職だったが、「再就職先を見つけたい」と話す。

リノベーターは現在、関西を中心に100室程度の住宅を持つ。賃料収入を買い取り費用や修繕費用に充て事業を回している。身元や収入状況を確認して賃料を決めるが、事業として持続させるため、やみくもに安くはしない。

現在、家賃の支払いは完全に履行されている。秘訣は入居後の住居面や心理面でのサポートに力を入れていることだ。水漏れなど修繕依頼には素早く対応する。進学費用の足しに、満18歳以下の子供を持つひとり親世帯にリノベーターが積み立て給付するサービスを提供する。長期間住んでもらうことで空き室率が下がり、収益が高められる。

「国内で230万世帯が住宅確保に困っている」とリノベーターの松本知之代表はみる。2030年には330万世帯に増えると予測する。大阪府や京都府内の自治体から「うちの市でも物件を取得してくれないか」と相談が相次いでいる。松本代表は「社会貢献すれば収益につながるモデルを確立したい」と語る。