朝日新聞に掲載されました!

2022/1/4版の朝日新聞に当社が掲載されました!

—————————— 以下一部抜粋 ——————————

いまは珍しい屋内の土壁が、築年数の古さを感じさせる。大阪府大東市の住宅街。長屋のようなつくりで、隣家と壁でつながる木造2階建て3DKで暮らす女性(81)は、家賃を必ず手渡しすることにしている。「もう年やし、歩くのはしんどい。受け取りに来てくれるのは、助かる」2カ月分の家賃7万円を受けとった大家の松本知之さん(42)は「こっちも元気な顔を見ると安心するわ」と、領収書のつづりにハンコをおした。

頼りになる存在

魚屋だった夫に10年前に先立たれて一人暮らし。この家に越してきて3年になる。築50年以上の家は雨漏りをしたり、トイレの水があふれたり。それでも、この家賃なら年金暮らしでもやりくりできる。気に入ってもらえるのは家賃や住み心地だけではない。「とっても、ええ人やな」。家に不具合が出るたびに相談に乗ってくれる松本さんを、頼りにしているようだ。大家の松本さんは、戸建てやマンションを安く貸すベンチャー企業「リノベーター」(京都府京田辺市)の社長でもある。主な利用者は、高齢の単身者や所得のあまり多くない人たちだ。保証人がいない、孤独死するかも、家賃を滞納するかもしれない—そんな不安から入居を拒まれることが多い。

格差と自助・公助

松本さんの考えは違う。「若くて経済力のある人に貸しても、やがては転勤や住み替えなどで出ていく。だったら、困っている人に安心して長く住んでもらえれば、事業として成り立つはずだ」信用金庫やファンドなどから資金を集め、古い空き家を買っている。大阪や京都、東京などに、約80戸を持つが、ほぼ満室だ。家賃は平均4.8万円と相場より安めに設定。敷金・礼金、連帯保証人も原則不要だ自社物件を貸すため、仲介手数料もかからない。そのぶん家賃を取りはぐれる心配はあるが、みずから各地の物件を定期的に回るなど入居者との接点を密に保つことで、トラブルを防ごうとしている。収益を上げながら、持続可能な形で社会の課題を解決することをめざすまだ、雇う従業員は1人だけの小さなベンチャーに、自治体や個人からの相談が相次いでいる。

公営は整備遅れ

本来なら安全網を担うはずの公営住宅は、自治体の財政悪化で整備が進んでいない。生活保護を受けるには所得や資産を調べられる為、ためらう人も多い。高齢の単身者や低所得者が自力で家を探そうとしても、民間住宅では「入居お断り」の商慣行が根強い。

松本さんは子どものころ、父親の経営する工場が倒産した。生活に困っている人に役に立つ仕事をしたいと思ったのは、同じように苦労した両親の姿が記憶にあるからだ。自分にできる「住まいの提供」という方法を通じ、多くの人に休まる居場所を提供するために、3年前に大手生命保険会社を辞めて起業した。

「どこまで、人に寄り添うことが出来るのか」                                                                                        松本さんの問いは、私たちにも投げかけられている。